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Nittoku Europe GmbH 様

OPCサーバーの導入により、エンドユーザへの自動化システム導入期間を3カ月短縮

Nittoku Europe GmbH 様


 

概要

写真:Nittoku Europe 工場


オーストリアのNittoku Europe GmbH(以下、Nittoku Europe)はコイル巻線機・巻線システムのリーディングカンパニーとして知られるNITTOKU株式会社(以下、NITTOKU)の海外子会社だ。同社は欧州地域の製造業に向けて、自社製の巻線機を販売するだけではなくエンドユーザへのシステム導入もワンストップで行う。そこで重要になるのは自社製の巻線機だけでなく、搬送や前後工程の設備も含めてデータを管理することだ。

設備データの管理にあたっては、設備・機器ごとに異なる通信インターフェースに対応する必要があり、これまではスクラッチ開発だったため、その開発工数が課題となっていた。そこで、さまざまな機器との通信インターフェースに対応した、たけびしのOPC対応産業用通信ソフトウェア「デバイスエクスプローラ OPCサーバー」(以下、DxpSERVER)の採用を決定した。

DxpSERVERを導入することで、設備との接続に要する開発工数を削減するだけでなく、設備との通信パフォーマンスの大幅アップや通信安定性の向上を実現した。更には他の設備やエンドユーザのMES/ERPといった上位システムとの連携にかかる時間の削減にもつながり、システム導入期間の大幅短縮を実現した。


<従来の課題>

  • 接続する設備・機器ごとにスクラッチ開発が必要で多大な時間とコストを費やしていた。
  • エンドユーザの上位システム(MES/ERP等)との連携に時間とコストを費やしていた。
  • システム導入期間が増大しており、巻線機・システムの付加価値向上に苦慮していた。

 

<導入により目指した姿>

  • 多種多様な設備・機器をスムーズにシステム統合し、接続に要する開発工数を削減。
  • エンドユーザの上位システム(MES/ERP等)との連携に要する開発工数を削減。
  • 巻線機の性能や機能を最大限に発揮させるための中核業務に集中できるようになった。

 

Nittoku Europe が提供する自動化システムの重要な役割を担うDxpSERVER

Nittoku Europeの自動化システムにおいて重要な役割を果たすのがDxpSERVERだ。DxpSERVER は、NITTOKUのライン制御システムと生産ラインのコイル巻線機に搭載されたNC制御機器(Nittoku Special Controller)間のデータ連携に使用されている。

Nittoku Europe CEOのリチャード・ワークル氏は、「ライン制御システムは、DxpSERVERを通じて各設備に生産指示を行い、各製造設備の稼働状態や操作モード、エラー通知、測定値、限界値などといったパフォーマンスやプロセスに関するあらゆるデータがDxpSERVERを活用することでライン制御システムにフィードバックされます。また、Nittoku Europeがワンストップでシステム導入を行う自動化システムにおいてはお客様側の搬送や前後工程の設備との連携も行います。ここでもDxpSERVERが重要な役割を担います。」と説明する。

さらに「ワークごとに紐づけられた加工パラメータやセンサー情報などの制御データをトレーサビリティ管理のために収集し、MESやERPなど周辺システムとの接続においてもDxpSERVERを用いて連携することもあります。」とワークル氏は話す。
 

図:Nittoku Europeの自動化システム構成


図:Nittoku Europeの自動化システム構成
 

決め手は通信パフォーマンスと技術サポート

Nittoku Europeは開発工数の削減と効率化を求めてOPCサーバーの採用を検討。さまざまな製品の調査を行い、最終候補に絞り込んだ2つのOPCサーバーを顧客の実際のラインでテストした。結果、たけびしのDxpSERVERを採用することに決めた。

Nittoku Europeで、電気・ソフトウェアエンジニアリングの責任者を務めるピーター・サントナー氏は、導入に際して「まずDxpSERVERに注目したポイントは、Modbus/TCPやBACnetなどの汎用プロトコルに対応し、主要なPLCやマシンコントローラ、ロボット、加工機など各メーカー独自の通信ドライバを備え、容易に接続が可能であることです。その後のテストにおいてもDxpSERVERは、他社製品に対して通信速度が30~50%程度高速で、従来の仕組みと比較して圧倒的なパフォーマンス向上を実現しました」と評価する。

さらに「システム導入で一部のデータにアクセスできないという問題が発生した際に、たけびしサポートチームが迅速に状況分析してくれた。そして、適切な解決策を提案し、トラブルの早期解決に導いてくれた。長年の実績と高い安定性はもちろんのこと、トラブル発生時の早期解決能力、状況に応じた解決策を提案してくれるなどの柔軟なサポートは非常に重要な採用ポイントとなった」とワークル氏は、技術サポートも選定の大きな決め手になったと語る。
 

図:巻線機と前後の装置


図:巻線機と前後の装置

システム導入期間を3カ月短縮

こうして2018年よりDxpSERVERを採用したNittoku Europeでは現在、自社製の巻線機を顧客の生産ラインに組み込んだ自動化システムを年間約15ラインのペースで提供している。

顧客先で生産ラインを稼働させるまでのリードタイム短縮にDxpSERVERは大きく貢献している。前述したとおりDxpSERVERに搭載された多様なメーカーの通信ドライバにより、既設の設備・機器をNittoku Europeが提供するライン制御システムにスムーズに統合できるようになり、「これまでの工期が3カ月に短縮できました。」とワークル氏は強調する。

さらにサントナー氏は工数削減による恩恵にもフォーカスし、次のように続ける。

「DxpSERVERの導入以前のように多様な設備・機器やシステムに接続する通信インターフェースを個別に開発する必要がなくなったおかげで、弊社のエンジニアはNITTOKUが誇る巻線機の性能や機能をお客様の生産ラインで最大限に発揮させるための作業に集中できるようになりました」

Nittoku Europeの新たな挑戦

DxpSERVERでシステム導入期間を短縮したことで、Nittoku Europeが提供する自動化システムにより集中できるようになった。そして、それをきっかけに、Nittoku Europeはビジネスをさらに拡大していこうとしている。ワークル氏は「現時点では自動車および医療分野のお客様を中心としていますが、今後はより幅広い製造業のお客様に向けて自動化システムを提供していきます」と意気込む。これに伴い年間で構築・統合を手掛ける顧客へのシステム導入も現在の平均15件から大きく上積みが図られる見込みだ。

そうした中で顧客から求められる多様なメーカーの設備・機器や上位システムとの連携要件もますます複雑化・多様化していく。そのため、これに応えるライン制御システムにもさらなる対応力と効率化が必要となってくる。「例えば、工場のスマート化を指向するお客様の生産ラインでは、関連する全てのシステムへのスムーズな連携が必須となっています。そのニーズに応えていく使命があるため、時間と工数を要していたシステム開発をよりシンプル化し、迅速なシステム導入を可能とするために、これまで以上に標準化に力を入れます」とサントナー氏は語る。

また、提供した自動化システムに対する予防保守のニーズも高まっている。Nittoku Europeでは将来的に自動車業界向けのグローバルサービスネットワークや、自社独自開発の稼働率分析システムなどのソリューションを提供するために検討を進めている。

「こうした新たな取り組みの中でもライン制御システムの中核を担うOPCサーバーの機能性向上が欠かせません。ライン制御システムは顧客要件によってさまざまなシステムが組み込まれますが、別システムが出力した設定情報をDxpSERVERの設定に反映しやすくするような機能拡張を要望しています」とワークル氏はDxpSERVERの今後の機能拡張、改善に期待を寄せている。

この要望について、たけびし側は、次のバージョンでの機能拡張を約束している。こういった顧客要望に寄り添った機能開発、状況に応じた解決策を提案できるサポートの体制がたけびしの強みであり、Nittoku Europeが、設備データの管理におけるビジネスパートナーとして、たけびしを選んだのはその点によるところが大きいようだ。

リチャード・ワークル氏

Dipl. Ing
CEO
リチャード・ワークル

ピーター・サントナー氏

電気・ソフトウェアエンジニアリング
責任者
ピーター・サントナー
 

 

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